糸満の夜



上映会のあと、糸満の居酒屋に場所を移し、
サンバ組合ツアーの宴会がはじまった。
笑ったり、食べたり、泣いたり、飲んだり、踊ったり、歌ったりの3時間。
宴もたけなわになると、長谷寺の和尚さんに一人ずつ自己紹介がはじまる。
これがまた一般的な自己紹介とは違う。
一人ずつ、心にしまってある思いをみんなの前にさしだす感じ。
大勢の人を前にして自己紹介とか、意見をいうとかいう時間って、ほんとは昔から苦手。
でもサンバ組合では、何度でもそういう機会がやってくる。
みんながすごいなと思うのは、ちゃんと自分の言葉で語ることができること。
ゆっくり、しっかり、自分の心から言葉をつむぎだす。
話している人の顔をみんなが、キラキラした瞳で、ほほえみながら、じっと聞く。
話すしかないよね、自分の素直な気持ちを。
長谷寺の副住職りゅうえいさんが
「いつまでも続くわけではない(この会が)。だからこそ一期一会を大切にしたい」
みたいなことを、仏教者らしく語っていたけれど、
ほんとうだなーと思った。
神楽坂で楽しい時間をみんなで過ごしている時もそう思っていた。
ずっと続くとわかっていたら大切に思わないというわけじゃないけれど、
楽しくて幸せな一瞬、一瞬を味わう。
食べてなくなってしまうのがおしいと思うほどのおいしい料理みたいに、
すべての感覚を研ぎ澄まし今を感じる。