わが家のシンボルツリー


この家に初めて訪れた時、とても印象的だったのが庭の入口に立つ一本の樹。
木肌が美しく、緑も豊かなグァバ(方言:バンシルー)の樹だ。
まだこの家を借りられるかどうかわからなかった時、「この樹が認めてくれれば私たちはこの家に住めるだろう」って感じたんだ。
そして晴れてこの家での暮らしが始まった時、バンシルーの樹は美味しい果実を食べ切れないほど私たちにくれた。台風が来て、実がたくさん落ちてしまった時は、ジャムにしたり酵素ジュースを作ったりした。野鳥やコウモリもこの実を食べに来たんだ。
落ち葉は畑の腐葉土となり、時々は葉で染色もした。
大家さんが、どこかの家でいらなくなったこの樹をここに移植したんだって。大家さんもこの樹の実が一番美味しいと言って毎年楽しみにしていた。
けれど、今年ついにバンシルーが枯れてしまって、大家さんと「この樹はよく頑張ったよ」と名残りおしく見つめたよ。