新月、2017年旧正月とネコたち

ふと、庭に目をやると茶色と白のブチネコ。
「うしモカ?」と一瞬思ったけれど、よーく見ると子猫のウシモカより1まわり以上大きい。
この庭にやってくるのは、最近ではマイケルとミケランとウシモカと決まっているから、見慣れないネコにギョッとした。

庭にいた雌ネコミケランを追いかけてきたようだ。
すごく身体が大きくて、顔半分に大きな傷がある。
左右の顔の大きさが違って、正直言ってちょっとブサイクかもしれない。
きぢに「庭に見慣れないヤクザみたいなオスネコが来ている、顔や体型はマイケルに似ているよ」と伝えると、「やっくる」と命名してくれた。「ヤクザ+マイケル」、「やー来るさりんど(方言:お前殺すぞ)」とかけているらしい。
ミケランの隣に座り、ミケランが動くとやっくるも動く。
ミケランは女王様みたいな顔をしてすましている。
だけど、ミケランとマイケルの子どもだと思っていたウシモカと、このやっくるの毛の色がよく似ている。
まさか・・・。
これが1月28日(新月)のこと。

そして、翌々日の30日の夜、事件は起こった。
きぢが夕方仕事から帰ってくると「やっくるが排水溝のところにいたよ」って言うので見に行くと、雨の中身体がぬれてよごれたやっくるが排水溝に座っていて、排水管の中を真剣にのぞいている。
懐中電灯で排水管を照らして見ると、奥に2つの光る瞳が見えた。
ミケランだ。
なるほど、やっくるの追っかけから逃げてここに隠れているんだ。
身体の大きなやっくるはこれ以上入れないもんね。
そばにマイケルもいて心配そうに見ている。


「おいおい、もういいかげんにミケランを追い回すのはやめろよ」
「ほっといてくれよ、俺はミケランが恋しいんだよ。おーいミケラン、俺の愛に応えてくれよ。君が出てくるまで、俺は動かないぜ」

マイケルに「ミケランがかわいそうだから、マイケル何とかしてよ」とマイケルに言うと、強くて優しい男のマイケルは時々、やっくるに話をつけにいってくれる。でも、やっくるはなかなか離れない。
ウシモカも心配そうに塀の上から様子を見ている。
深夜、ネコの「ぎゃー」という叫び声が聞こえたけれど、朝になるとみんないなくなっていた。
けれど、やっくる一匹がまた家の前に現れ、私の顔を見て悲しそうに「ミャー」って何度もないた。
「ミケランは俺のことかまってくれないんだ。どこかにいってしまったんだよ。悲しいよ、切ないよ、あんたミケランの居場所を知らないかい?」
最近、ネコたちの気持ちが聞こえてくるようになってきた。