「黄色のまち」は、当時通っていたアートスクール「パレットクラブ」の卒業展に出すために描いたのが始まり。
確か卒展は3月で、イラクから帰国したのが2月の下旬。イラクに行く前はとてもじゃないけど、絵を描いている心境じゃなかったから、「イラクから生きて帰ってこられたら、絵本にして発表しよう」ということになった。
イラクに行くことは、所属していた部署の部長にも反対されていて(もしも何か問題が起きたら自分がめんどくさいことになるから)、「イラクに行くなら、帰ったら自分の席はないと思え」と言われていたから、どうせ日本に戻っても無職だから、絵を描く時間はあるだろうと思っていたら、職場に戻れた。
となると制作時間があまりない。せっかく生きているんだから、なるべくたくさんの人に見てもらえるように作品を仕上げた。もうあの頃のことをあまり思い出せないのだけど、とにかくなりふり構わず、筆を持って絵を描いていた。
2つの絵と、1冊の絵本を作った。それが「黄色のまち」と、今回作品展で飾る「砂漠とラクダ」の絵。命がけで作ったわりには、数回しか展示したことがないので、今回は印刷屋さんに頼んでハードカバーの絵本にした。絵本を作るにも資金がいるので、今回は22冊が私のできる限り。仕上がりは満足。