グスク物語3

20160417
洗濯をしているところを屋根から見守るグスク
グスクがいなくなって4日目。
夢の中にグスクが出てきた。静かにそこに座っているグスク。
表情とか細かいことは見えないんだけど、存在感がずっしりと伝わってくるシュルエット。
目が覚めて、きぢに「グスクが夢に出てきた」って言うと、きぢも「実はぼくも」って。
グスクはそろそろあちらの世界に到着して落ち着いた頃だろうか。
生きているグスクに最後に会ったのは、私が東京に出発する日。
最近、皮膚の状態が良くなくて、ノミがいた。多分ノミのフンであろう黒いものがグスクの毛の根元を覆っていた。ノミ取りコームで毛をとかす。ここ数ヶ月、グスクはどんなに体を触っても抵抗することがない。
背中にそっと手を触れただけで嫌がていたのに、今では体を摺り寄せてくるほどになっていた。体はだいぶやせて、お尻や腰のあたりは肉がほとんどない感じ。ご飯を毎日食べているのに太れなくてきぢみたい。
前日に「明日もノミとりするから、できたら朝会いに来てね」というと、旅の日の朝、ちゃんと来てくれた。毛をとかし、皮膚をマッサージし、タオルで毛を拭いた。グスクは静かに身を任せてくれたんだ。「火曜日まで東京に行くから元気で待っていてね、きぢがご飯くれるから食べに来てね」って言い残し、グスクと別れたのが最後。
旅の間も、会う人会う人に、ネコのノミ撮りのアドバイスをもらっていた。
ノミとりの薬を調べたり、帰ったら病院に連れて行こうかとも考えた。
グスクはいつも、家の中に入りたそうだったんだ。
侵入2回、そして一度だけ2月にグスクを家に招いたことがあった。
ドアを開けたら覗いてくるから、「グスク、どうぞ」ってドアを開けたままにすると、静かにそーっと入ってきて入り口のところで昼寝していた。
そんなグスクを見ていると「グスクもこの家の子になりたいのかな?」とか思って、家の中で一緒に暮らせたらいいのにって真剣に考えることもあったんだ。
でもグスクは自由なノラネコ。グスクが来たい時にだけ来て、この庭でくつろいだり養生できるようにするのがいいんだろうね。
世の中にはノラネコに餌をあげるのを反対の人もたくさんいる。
私もそういう人たちの意見を聞くとなるほどねって思うこともあるし、ずっと心は揺れていたよ。飼うか、かまわないか。
でもね、どちらもできなかったんだよ。
生ゴミを食べるグスクを見ているのは胸が痛んだし、痩せてフラフラのグスクを放っておけなかった。