「それが愛だよ」(うしモカより)

朝、いつもの坂道を歩きながら、ふとうしモカとの最後の時間を思い出していた。
病院の酸素室の中で、痛みに七転八倒するうしモカを、ただ見つめることしかできなかったあの時間を。
最後の瞬間に一緒にいるってこういうことなのかと。

家ネコじゃないから、最後に一緒にいられる可能性は高くなかったのかも。
いつ、どこで、何をしているのかもわからない関係だから。
うしモカが死んでしまうことなんて考えたくなかったけれど、それでもうしモカには「最後まで見守る」て約束していたから、きっとその通りになったんだ。辛い時間だったけど、私たちには必要な時間だったんだ。

そんなことを考えていたら、
「それが愛だよ」って、うしモカのメッセージが心に届いた。
一緒にいること、最後まで目をそらさないこと、そのままの自分を見せること。
それが愛なんだ。
そう思ったら、目に入るすべてがキラキラと美しく見えて、涙が出てきた。出勤途中におかしいよね。

夜、うしモカとネコ会していた坂からガジュマルを見上げると、葉っぱの中からまーるいお月さまが見えた。
いつまでもそばにいるよ。