首里のこの家はトタン屋根。
コンクリートの頑丈な建物で育ってきた私には、トタン屋根というのは未知のものだった。
引っ越す時に友だちから「トタン屋根の雨音はかなりうるさいよ」と教えてもらった。
実際、シトシト雨なら気にすることはないけれど、強い雨となるとドラムの中にいるみたいにビシバシと音が響く。こんな時は、電話の声も聞き取れないし、映画の音も聞こえない。だから、雨がおさまるのを待つ。自然には逆らえないなと感じる。
でも、それが嫌だったかというと、日に日に面白いな、いいなと思うようになってきた。今も、雨のドラム、風で木の枝が打ちつける音などをしみじみと聴いている。
さすがに台風の時は屋根が吹き飛ばされるんじゃないかという恐怖もあったけど。
トタン屋根を離れる今となっては、トタン屋根から聴こえてくる音がいとおしい。
外で雨が降ってるのもわからないような鉄筋コンクリートって何か物足りなくない?って思ってしまう私は変な人かな。