リモと共に過ごした最後の一日の時間を思い出している。
お昼くらいまでは、いつものように動いて、ごはんの器をわたり歩き、ペレットを食べて、お水をのむリモに、がんばってごはん食べてお薬のんで元気になってねって応援してた。
激しい吐き気が頻繁におこっていた。胃の中にもうなにもないのか、いつものように吐き出すものはなかった。
吐き気が始まると、リモの身体を手で包んだ。そしてサメミロンをのませて、落ち着いたら、手の中でいいこいいこした。
すると、なにもなかったように、穏やかで幸せに満ちたリモになって、手の中で休んだ。
そんなことを繰り返しているうちに、リモの力が、リモの身体の気配が、薄く透明になっていくのを感じた。
リモはもう身体をぬごうとしている、もうお別れの時が近づいてるんだなって、わたしのなかで覚悟が生まれてきた。
もうがんばってとか、ごはんたべてとか、そんなんじゃなくて、リモが安心して最後の時を迎えられるように、ただ一緒に今ここにいよう。
外はスコールがふっている。ザーザーと雨のシャワー、とたん屋根のドラム、リモにも聴こえているかな?
心が静まってくる。
隣の部屋にいるきぢを呼んで、ブルーノとヨギーノを外に出した。
ブルーノはすぐにわたしの肩に飛んできて、一緒に手の中のリモを眺めてる。
ヨギもカゴの上からリモを見ている。
手の中のリモの身体が、ピクピクっと痙攣している。それを何度か繰り返したあと、羽をばっと広げた。まだ息をしてる。
手の中を飛び出してパタパタと羽ばたき、転がった。痛いのかな、苦しいのかな。もうほんとに身体は終わりな近づいてるのを感じた。
リモを手の中に戻すと、深い呼吸を何度かして、身体は動きをとめた。
リモの魂が身体をぬけだしたのを感じた。
リモの身体ありがとう。いままでたくさんがんばった美しいレモンとブルーの身体。
来週の東京も行くのはやめて、約束もすべてキャンセルして、11月の作品展も延期して、こらからの旅程はすべて短縮することを決めたのが、お昼頃。
それからリモのカウントダウンが始まった。リモはわたしに、予定通り進んでいってね、大丈夫すべてうまくいってる、と言っているようだった。
リモの今いる光に満ちた世界を、いつか感じられるようになりたい。
リモが解き放つ光の粒を受け止めて、なにかを作り出したい。もう希望しかない世界を進んでいこう。