Devil’s Night

形あるものは、いつかなくなる。
と言えども、あまりの早さを目の当たりにすると絶句する。
3時間で首里城正殿は燃えて崩れた。
僕の体は震えていた。
音、匂い、煙り、炎、火の粉、僕の記憶に強く刻まれた。

暮らしの風景にあった城だからなのか、心にぽっかり穴が空いている。
それだけ存在感が大きい証しだ。
アイデンティティーが琉球なんだろう。

油断すると、ハロウィンの午前2時を考えてしまう。
11月1日、午前3時に目が覚めた。
首里の丘で静寂を感じる。
僕だけかな。
気のせいかな。

首里の空

蝶が舞い、鳥が飛んでいる。
戦争で城が焼けたときも、同じだったのか。
上の毛の先から日は昇り、東シナ海の向こうに沈む。

きぢのイラスト(さとり)