あの世の正月を祝う

SN3J0009
旧正月のあとの初めての満月。
沖縄ではこの日を「グソー(あの世)の正月」という。
生きているものと生きていないものがここでそろって正月をむかえる。
内地からやってきた産婆組合のみなさんと久高島に泊まることになった。
「今日は旧正月初めての満月で、新しいサイクルがはじまる日なんだって!」と、
伝えると「え〜!!ぜんぜん知らなかった〜。すごいね、いい日にきたね」って。
流れに乗っている人というのは、自然のサイクルにもあっているものなんだね、きっと。
玉城の御嶽を2つまわって、久高島への最終船に乗り込んだ。
空は曇っていて、いつにもまして静かな気配の久高島。
宿で「ゆるむね〜、気持ちいいね」とかいいながら、夕食までゴロゴロ。
夕ご飯は港にあるとくじん。久高島にくると、とってもおなかがすくんだ。
苗さんがきていろんなお話をしてくれた。
印象深かったのが「願いごとの願い方」。
夜は雨がふってきて、ざんねんながら満月は見られなかったけれど、空に浮かぶ満月を感じながら眠ったんだ。
翌朝、小雨がふるなかみんなでしいき浜へ。
産婆組合のみんなが作った「安産三原則」の歌を歌って、踊った。
気がつけば雨もやんでいて、わたしたちはやわらかな光につつまれていた。
「幸せなお産を世界に広げたい」産婆組合みんなの気持ちだ。
愛の過程で子どもを授かり、愛の時間のなか胎児を育み、
愛に包まれてこの世界にやってくる赤ちゃん。
世界はきっとそこから変わっていくだろう。
そして旅の終わりには、まさにそんな赤ちゃんに会うことができた。
赤ちゃんの存在感に泣けてきた。
1泊2日。人生をぎゅっと凝縮したような時間だった。
生命の誕生のように、わたしたちの一瞬一瞬を大切にしたいな。